すごく疲れていた。
髪はボサボサで口も半開きであぐらで猫背のだらしない感じでテレビを観ていたら、テレビの中になんだかとても素敵な女性がいた。笑うと口角がきゅっと上がって唇が半月のような見事な弧を描いて、60代のおばさんなのに張りのある笑顔だった。とても生き生きしていた。
生気のなかったオレだけどその笑顔につられて「にっ」と笑ってみた。全力で。
そしたら荒れた唇が「ぴっ」と裂けた。鏡を見たら大きな前歯が赤く染まっていた。血が流れている・・痛い・・。
暖房の前ではオレに無関心なキャッツらがそれぞれ毛づくろいをしていた。
オレはひとり情けない顔で鏡の自分にウィンクした。「オレ、生きてるぜ!」