よぼよぼお爺ちゃん編 その3

よぼよぼレベルは日に日に上がり、それに比例して当然介護レベルも上がっていったので
人手の多い実家で過ごすことにした。
この頃はとにかく気合いで生きていた。例えば立ち上がるのにはそうとうな気合いが必要
でかけ声が自然と出た。「はっ!」。たいていのことをこの「はっ」で乗り越えた。
どんな「はっ」かと言えば、「これから瓦10枚割ります」という武道家が瓦を割る時に
出る「はっ!」が一番近いと思う。
階段を上がるときや何かを踏み越えるときなどとにかく足を持ち上げるときには必ず
「はっ」が出た。そしてそのうちに自分のものではない「はっ」も聞こえるようになった。
次女チャンクと母ボンレスの合の手だった。
ボクが自力で頑張ってお風呂なんかに入ってると湯船に出たり入ったりで自然と「はっ」
が増える。すると合の手の「はっ」も当然増えて掛け合いになる。
   ボク:「はっ!」
チャ、ボン:「はっ!」「はっ!」
   ボク:「はっ!」
チャ、ボン:「はっ!」「はっ!」「よっ!」「吉田屋!」
こいつらは治ったらぶっ飛ばしてやろうと心に誓った。
このようにバカにされつつもボクは一週間を気合いで乗り切りました。
8月23日
セコンドには新たに次女ストロング・チャンクが付き、万全を期して三度目の挑戦。
花柄模様のステテコで「脳神経内科」の門をたたいた。
「すみませーん。34歳女子です。お爺ちゃんになっちゃったんですけどー。」

つづく