いろんな葛藤の末、決断した。始めの一歩はとびきり楽しくなくてはならない。
そうでないとこの痛みはやりきれそうもない。
というわけで、先に飛び立った妹たちを追って急きょ沖縄へ。
髪を切り新しい服も買ってまるで傷心旅行だけど、意気込みを目に見える形にした。

羽田空港に着いて荷物をガラガラ引いて歩いていたら、だんだん旅行モードになって
きて、久しぶりのひとりの飛行機ではもうすっかりわくわくしていた。そしてずっと
ふらふらしていた心が自分の体に戻ったのがわかった。
あの2日間、何度もソラの痛みを代わってあげたいと思ったし、恐ろしい記憶を
ひとり抱えてしまった母と代わってあげたいと何度も思った。
でも代わることはできない。みんな自分の体と魂で生きて行かなくちゃいけない。
あぁ、だから人は人に優しくなれるのか。痛みを代わってあげられないかわりに。
と空の上で思った。

那覇空港。次女チャンクと三女ブロードウェイが迎えに来てくれていた。
『吉田海辺荘・オーナー様』というバカみたいな手書きのプラカードを持って、オレを
探している間抜けな顔がおもしろかった。早速スパムおにぎりとさんぴん茶を買って、
車に乗り込み一路北へ。水族館ではジンベイザメの前に二人を立たせて写真撮影。二人
のすばらしい肉体美のシルエットをとらえることができた。プロレスラーのようだ!
そして沖縄の夕日を拝む。関東人としては水平線に沈む夕日はとても貴重だ。そんな貴重
な金色の時間を、「夕日」という単語を忘れてしまったチャンクはずっと「日の入り、
日の入り」と言っていた。間違ってはいないけど少し黙っててくれない?
夕飯は『やもりや』へ。ゴーヤチャンプルがかなり好みの味。泡盛もたくさんの種類があった。献杯をして三人で少しだけ泣いた。
そして爆睡。よーしこのまま脱・不眠症だ!